庄内地方はだんだんと秋模様になってきました。もちろん季節の変わり目なので急に暑い日になることもありますが、朝晩は羽織物がほしい時もしばしば。
秋といえば真っ先に「食欲の秋」を思い浮かべてしまう食いしん坊な私。特に食べ物で季節を感じている気がします。例えば、ついこの前まで良品からハジキまで様々販売されていただだちゃ豆や枝豆が、だんだんと減ってきました。
夏の食材の売り場がだんだんと小さくなり、バーベキュー用の売り場が芋煮コーナーに変わってくると、「ああ秋になってきたなぁ」と感じます。東京のスーパーよりもこちらのお店の方が、旬ごとに売り場がガラッと変わる度合いが強いような気も。
また、庄内地方は果物の生産も盛んな場所。これまではメロンやスイカがあちこちで売られていたのが、いつのまにか梨に入れ替わりました。農園が道端に開設する直売所も、メロンとスイカは既に閉まり、今は梨の直売所がにぎわっています。
ただ今年は、2月頃に降った雹の影響で酒田市の刈谷地区で栽培される「刈谷梨」の収穫量に影響が出ているという、少し寂しい話も聞かれます。
庄内地方で行われるこの季節の一大仕事といえば、何と言っても稲刈り。何しろここは米どころ。そこかしこに黄金色の田んぼがあり、忙しく収穫を行う農家のトラクターを見ることができます。
昨今はコロナで夜に食事や飲みに出る人は少ないですが、さらに人が出歩かなくなるのがこの時期。稲刈りの時期は一時的に夜の街の人出が減る、というのは移住してきてから知った庄内の一面でした。
稲刈りが始まったということは、新米の季節がやってきたということ。この時期、スーパーや産直では「X月X日から新米を販売します」という掲示が出ます。
元々白米が大好きな私はその誘惑に抗えず、早速庄内産の「はえぬき」の新米を買いました。炊き上がりの香りが濃くとてもみずみずしい食感で、「米どころに住んでいてよかったなあ」と感じずにはいられません。
もちろん、新米と一緒にいただきたいごはんのお供も様々あります。
まず、納豆と刻んだ昆布、麹を塩漬けにして発酵させた「塩納豆」。酒田の郷土食ですが、お隣の鶴岡市民の中には存在を知らない人もいるほど、ピンポイントのご当地グルメです。納豆好き、発酵食品好きの方には是非試していただきたい一品。
また、酒田の海鮮市場やスーパーの鮮魚売り場では夏の味覚の「岩ガキ」がすっかり姿を消し、そろそろすじこが出る頃。「はららご」とも呼ばれます。塊で販売されており、自分でばらして醤油漬けを作るのですが、頼めばお店やスーパーでも味付けをしてくれます。
魚卵が好きな私にとっては、個人的に最高のごはん泥棒です。
季節ごとに変わる旬を強く感じられる庄内地方に在住するのは、まさに「産地で暮らす」生活だなと感じます。生きる上で大事な「食」の豊かさが、この地には溢れています。