鎌倉から庄内へ~夫と猫と過ごす4年目の酒田スローライフ
2018年3月に酒田市に住民票を移して以来、あっという間に丸3年以上が経ちました。
移住する前は冬の厳しさだけが不安でしたが、3回目の冬を何とか乗り越え、今も夫と猫2匹とのんびり暮らしています。

初めまして。
「産地で暮らす」のコラムを担当することになりましたガンバリーニ杏子です。
変わった苗字ですが本名で、その理由は夫が外国人だから。
夫のピエールはフランス出身で、私は神奈川県出身。2人とも庄内には縁もゆかりもないのですが、まだ東京に住んでいたころ、ひょんなきっかけで夫が酒田の人と知り合い、そこからあれよあれよという間に状況が変わり、いつの間にやら酒田市民になっていました。
フランス人である夫がきっかけで庄内に移住してきたというのは、自分でも面白い理由だなと思います。

「縁もゆかりもない」とは言いましたが、実はほんの少しだけ、酒田に「呼び寄せられた」といえるような出来事がありました。
というのは、小さかった私に雪を見せるべく両親が目的地に選んだのが鶴岡市のあつみ温泉。当時5才位の私が、「酒田」と行先表示された特急いなほの前でピースをしている写真を見つけたときはかなり驚きました。
そして夫はというと、日本に来てまだ間もない2012年頃のこと。私の両親と一緒に、初めて関東圏から出た旅行に行った時の目的地が、福島~銀山温泉~あつみ温泉というルートで、途中、酒田にある山居倉庫に寄っていたのです。


その頃は日本語もほとんどわからず、「酒田」という地名もすっかり忘れていたものの、数年後に酒田の人に連れられて山居倉庫に行った時、「あれ、ここ知ってる」と、不思議な感覚に襲われたそうです。

現在生活をしている酒田市は、のどかさと便利さの塩梅がちょうどいいなと常々感じています。そして、雄大な自然、美味しい食べ物、かつて商人街であったという気質から来る気さくな人々と、いたるところに魅力があふれています。


特に地元産の食べ物に関しては、さすが農業王国山形県!と感嘆してしまいます。何しろ車で気軽に行ける距離に産直があったり、スーパーの中に地域の農家さんのコーナーがあったり、はたまた庄内エリア内でしか流通していない日本酒があったりと、食の豊かさは信じられないほどのレベルです。


また、ちょっと中心地から離れれば、はるかに眺める鳥海山や季節ごとにその姿を変える田んぼ、冬には氷瀑となる滝など、自然がとても身近にある環境です。
忙しい都会を離れて酒田に引っ越してきてからというもの、「豊かな生活」とはこういうことなのかもしれないなあとよく考えている自分がいます。
まあ、冬の気候はちょっと過酷だったりしますが……


移住して丸2年が経とうとしていた2020年春、私たちに転機が訪れました。
それまで住んでいた貸家を後にし、酒田市役所からほど近い中通り商店街に引っ越し、そして2020年6月、お店を始めました。

中通り商店街は、オレンジ色のアーケードが特徴的な歴史ある商店街。現在でも60店舗あまりのお店が軒を連ねています。

お店を開いてそろそろ1年、商店街での暮らしにもすっかり慣れました。
いつの間にか2匹に増えた猫たちも、1匹は家の中で、もう1匹はたまに散歩に出かけるなどして気ままに暮らしています。
4年目を迎えた酒田でのスローライフ。ほかのお話はまた次回。