今年も夏が終わり、早くも秋の訪れを感じる季節になりました。
ここ庄内でもお米を始めとする農作物の収穫準備が始まり、9月~10月にかけて最盛期を迎えます。
庄内平野は、日本海に面した側以外の三方を鳥海山や出羽山脈といった山々に囲まれ、最上川の河口に開けた扇状地です。四季の変化が鮮やかで、周囲の山々が冬の間に蓄えた雪解け水が、最上川をはじめ赤川や日向川、月光川といったさまざまな川や湧き水として豊富な水源となります。
夏の日照の長さと、昼は暑く夜は涼しいといった気温差など、数々の条件がそろった広大な庄内平野は、「はえぬき」「つや姫」「コシヒカリ」など数々のブランド米を有する国内有数の米どころとして、この季節では至る所で収穫の光景がひろがります。
米以外にも、平野の周辺と山の中山間地域では多くの野菜や果物などが収穫時期を迎え、この季節の庄内はひと際活気に満ち溢れます。
庄内の秋の果物でぜひとも紹介したいのが、「刈屋梨(かりやなし)」と「庄内柿(しょうないかき)」です。
「刈屋梨(かりやなし)」は、酒田市豊川地区で明治時代から作られてきた和梨で、主力品種は豊水や幸水ですが、「同じ梨なのに、味が断然違う」とも言われ、一度食べたら忘れられない人も多いとか。
丹念な土づくりと、ひとつひとつ綿棒を使い手作業で行われる受粉作業など、手間ひまかけて作られていて収穫量はそれほど多くないため全国ブランドにはなっていませんが、この時期になると豊川地区には多くの直売所が設けられ、地元周辺地域のファンが大勢訪れて賑わいを見せます。
「庄内柿(しょうないかき)」は、かつて庄内を訪れた皇太子殿下にも献上されたことのあるブランド柿で、正式名は「平核無柿(ひらたねなしかき)」といい、渋柿の王様と呼ばれるほど人気のある品種です。
まるで舌で溶けるようなやわらかさと、種が無いことが大きな特徴で、糖度が高く果汁もたっぷりですが、果肉はとてもきめ細やかで、上品な甘さで人々に愛されています。
また近年、庄内柿の最高峰として登場した新ブランドが「柿しぐれ」です。
これまでのように収穫後に脱渋するのではなく、木になっている状態で脱渋する樹上脱渋という手法で、通常の柿より約1ヶ月以上長く樹上で熟成されることで甘さが詰まった極上の風味と食感が生まれます。
首都圏にも出荷され、ギフトとしても人気を集めている注目の逸品です。