西郷どん(せごどん)と庄内の深い繋がり

今年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」が始まって早一ヶ月、人気の高い幕末・明治維新の英雄の物語とあって注目されている方も多いことと思います。鈴木亮平さん演じる若き日の西郷さんはエネルギーに満ちあふれていて、なんだか見ているこちらも元気をもらえるようです。

西郷隆盛、南州といえばもちろん薩摩の藩士であり、鹿児島が舞台であることはいうまでもありませんが、遠く離れたここ山形県酒田市も実は西郷さんと深い関わりがあるってご存知ですか?

目次

西郷隆盛を祀る「南洲神社」が酒田にも?

南洲翁こと西郷隆盛を祀る「南州神社」は、鹿児島市の本社のほかに3つの分社があります。

鹿児島県沖永良部島和泊町、宮崎県都城市、そしてもうひとつが実はここ山形県酒田市にあります。
他はすべて九州地方南部であるなかで、酒田だけが異質ですよね。

そこには西郷隆盛と庄内藩士たちとの歴史上の深い交わりと、そこに関わった人々の強い思いが込められているのです。

時は明治元年、戊辰戦争で庄内藩は幕府側として官軍に激しく抵抗するもやむなく降伏するに至り、新政府による厳しい処分を覚悟していました。しかし、東征大総督府参謀であった西郷隆盛の意向により、公明正大で極めて寛大な降伏条件での言い渡しを受けました。

このことに深く感銘を受けた旧庄内藩の藩士らは、生涯にわたり西郷を大いに慕うこととなります。

あの『南洲翁遺訓』は、旧庄内藩士達によって刊行された

明治3年~8年には前藩主の酒井忠篤公を筆頭に、実に70名以上の旧庄内藩士や家老たちが鹿児島を訪れ、帰郷していた西郷のもとで寝食をともにしながら教えを受けました。

その後の明治23年、旧庄内藩の藩士たちが西郷から直接聞いた教訓や思想などをまとめたのが、南洲翁こと西郷隆盛を全国に広く知らしめることとなった『南洲翁遺訓(西郷南洲翁遺訓)』です。

そう、この本は薩摩人の手によってではなく、旧庄内藩士たちによって刊行されたものなのです。

それから旧庄内藩士たちは、西郷の遺徳を世の中に広めるべく、この書を携えて全国を行脚しながら配布してまわったそうです。このことからも、どれだけ強くて深い思いが込められているかが伝わってきますね。

西郷隆盛や明治維新関連の書画や縁の品々も展示

酒田の南洲神社は、そのような経緯から南洲翁の遺徳をたたえ昭和51年に建立されるに至りました。

社殿は銅版葺と、安岡正篤の取計らいにより、伊勢神宮の払い下げ用材を使用した、総桧造りになっています。

敷地内には旧庄内藩の中老、臥牛翁・菅 実秀(すげ さねひで)と南洲翁・西郷隆盛の坐像があります。
これは明治8年に臥牛翁が鹿児島の武屋敷を訪れ、互いの親睦を深め「徳の交わり」を誓い合ったときの様子を表したものだそうです。

この酒田の南洲神社は、財団法人荘内南洲会により南洲会館、南洲文庫と共に運営され、南洲翁に関する遺墨、遺品、研究資料のほか、明治維新関連資料や荘内出身の偉人傑士の書画など数多く収蔵しています。
この展示だけでも歴史好き、幕末好きは必見ではないでしょうか。

また、現在でも南洲会館来館者には『南洲翁遺訓』の文庫本を無償配布しているそうです。

大河ドラマであらためて西郷どんの功績を振り返りながら、ここ酒田で縁の数々にふれてみるのはいかがでしょうか。

南洲神社


住所:酒田市飯森山二丁目304-10
TEL:0234-31-2364
開館時間:午前9時から午後4時
休館日:日曜日、月曜日
料金:無料
アクセス:酒田駅から車で15分、酒田ICから車で15分、庄内空港から車で20分

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