生活クラブらしさ満載の参加型福祉コミュニティーづくり

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報告レポート

第24回 老い支度を考える―ゆるやかな連絡会 「見守りとサポートがあれば、自分らしい住まい方はもっと拡がる」開催報告

『老い支度を考える−ゆるやかな連絡会』では、「老い支度」に関心のある人々が集い、学び、話し合う場として、さまざまなテーマで勉強会やセミナーを開催しています。
2019年10月11日、生活クラブ神奈川が生み出した『社会福祉法人いきいき福祉会』(以下、「いきいき福祉会」)、の理事長の小川泰子さんを講師に迎え、「施設の在り方」や「終の棲家」への考えを聞かせていただきました。

 

 

小川泰子さん

 


 

生き方を方向づけるのが「住まい」

 

『社会福祉法人いきいき福祉会』は、特別養護老人ホーム(以下、特養)、在宅介護サービス、デイケアサービス、生活困難者の就業訓練や住居の運営にも関わっています。その中で、人の「生き方」と「死に方」を方向づけるのは「住まい方」だと考えています。
『脱住宅』(山本理顕著/平凡社)に、日本の住宅政策が戦後の「一家族一住宅」の延長だと書かれています。しかも、「家族」とは、夫が働き、妻と子を養い、妻は家事を担うという形が基本になっているのです。いまや「家族」は多様です。単身者が増え、高齢夫婦、高齢夫婦とシングルの子ども、シングルマザーやLGBTの人たちもいます。にもかかわらず、いまだに従来型の間取りのマンションが大量に建てつづけられていますが、実際に求められてる多様な「住まい」にはそぐわないのです。

 

福祉施設であっても、「自分の住まい」と感じられる場所であるべきだと考えますから、従来の病院型の特養施設は「住まい」として適していないと感じています。「いきいき福祉会」が基本としているのは、「人権の尊重」です。その上で、すべての命に向き合い、生き方と死に方を考えた「住まい方」をベースにした事業を展開しています。地域で必要とされることの掘り起こしにも意識を向けています。

 

神奈川県平塚市に木造2階建のアパートを借りて「サポートハウス」を実現しました。特養に入れない高齢者や、アルコール中毒や統合失調症の生活困窮者の人たちも住んでいます。普通のアパートですからバリアフルですが、開設以来15年転倒骨折はゼロです。職員は手を出しすぎないようにしていて、入居者同士の助け合いが盛んです。それぞれができるだけ自立して暮らせて、ほどよい距離感の関係性があることが大切だと実感しています。

 

 

豊かな福祉社会を実現するには

 

いざというときに頼りになる最後のセーフティーネットは、社会保障や生活保障を考えて活動している生活クラブグループだと考えています。その仕組みをどう使い、どうやって改善していくのかが問われています。
「人権の尊重」を第一に考え、2007年から『ラポール城南』を拠点に始めた「夜間対応型訪問介護」では、夜中でも人のお宅に入って訪問介護をしています。24時間365日、支えきることが不可欠だと考えるからです。2009年に開設した『ラポール三ツ沢』はすべて個室で、トイレもお風呂も部屋に付いています。お風呂で裸を他人に見せるのは、ケアしてくれる人に対してだけです。

 

2019年4月に、1994年に開設した特養施設『ラポール藤沢』を災害予防のために移転しました。当初は浸水想定地域ではなかったのですが、地球規模の気候変動の影響で川沿いは危険になってきました。一般的に高齢者や障害者向けの施設は、土地の安い山奥などに建てられがちですが、今後の災害の頻発を予測するなら、すべての施設で災害予防対策に本腰を入れるべきです。命を守るための住宅を供給することは、本来、政府の仕事ではないでしょうか。

 

今でも「自分は中流」と思い込んでいる人が多いようですが、実はほとんどの日本人は「下流」です。誰もが「貧乏しながら、どう暮らすか」を考えていくことが賢明です。一人ひとりが小さくていいから経済活動を続けていくことが、とても重要になってきています。さらに、地域で関係性をつくっていくことも大切です。一人ひとりが地域で「他者に心を向ける」ことが、実は豊かな福祉社会のベースになります。「高福祉高負担」から「高福祉中負担」へのシフトの実現は、地域の関係性にかかっているのではないでしょうか。生活クラブでリーダーシップを発揮した人をはじめ、地域の問題に関心を持ちつづけている組合員たちは、豊かなポテンシャルを持っていると思います。
さてあなたは、どこで、どのように住み、誰と、どう生きていきますか?

 

 

参加者アンケートより
・自分が近い将来やりたいと思っていることに確信が持てました。
・自分がどんなふうに暮らしていきたいか、考えさせられました。
・今の家に夫婦で住みつづけると思い込んでいたことに気づかされました。もっとフレキシブルに考えてよいのだと思いました。
・これからの生き方に活用させていただきます。
・ラポールの考え方、すごいです。その通りですね。他人に関心を寄せ、自分のできることをして、関わって生きていこと。元気出ました!

 

 


ラポール・グループ事業展開
1994年 特別養護老人「ラポール藤沢」開設 職員40人スタート
2000年 介護保険制度スタート
2003年 ラポール平塚・サポートハウス「和」
2004年 「ラポール西寺尾」開設(サポートハウス、デイサービス、グループホーム)
2007年 「ラポール城南」(サテライト特養、居場所、サポートハウス、定期巡回型・夜間対応型訪問介護等)
2009年 特養ホーム「ラポール三ッ沢」開設 職員350名
2011年 辻堂地域包括支援センター縁側事業等サロンづくり
2019年 特別養護老人ホーム「ラポール藤沢」災害予防対策のための移転創設 職員400名