生活クラブらしさ満載の参加型福祉コミュニティーづくり

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報告レポート

第2回 庄内で暮らすを検討する会 「庄内で小さな起業・ナリワイプロジェクト」開催報告

生活クラブでは、高齢になっても安心して暮らせる参加型のコミュニティづくりの試みを進めています。そのひとつが、山形県庄内地方で暮らす選択肢をも視野に入れた「庄内の福祉コミュニティ構想」です。

2019年7月6日には、『第2回 庄内で暮らすを検討する会』として、『鶴岡ナリワイプロジェクト』の代表である井東敬子さんをお迎えし、暮らしとつながる小さな起業の試みについてお話をうかがいました。

井東さんのポジティブな考え方、そして人とつながる柔軟な姿勢に触れて、「私も何かやってみたいな」と感じた参加者も少なくなかったようです。

井東さんの活動についてのお話をまとめます。

 

井東 敬子さん

 


 

40代で家族で移住し、試行錯誤

 

井東敬子さんは、山形県上山市の出身。

20代は東京でJTBに勤め、30代は富士山でネイチャーガイドとして活動し、40代で起業・出産し、2011年に鶴岡市に移住しました。

鶴岡市への移住に踏み切ったのは、かねてから自然豊かな庄内地域にあこがれ、「子育てをするなら庄内で」と考えていたから。横浜出身の夫は、移住を機に羽黒山での山伏修行を経て、サラリーマンから山伏業に転身。

ざっとうかがっただけでも信念が垣間見え、ワクワクとさせられる波乱万丈の半生です。

そんな井東さんですが鶴岡市に移住後、どんな経緯で『鶴岡ナリワイプロジェクト』を展開するに至ったのでしょうか。2011年の移住時は、鶴岡市に知り合いは無し、仕事も無し。はじめの3年間は、知り合った人たちから頼まれることに、ひたすら応えつづけたそうです。「これできる?」「あれ手伝ってくれる?」……来るものは拒まず、ひたすら打ち返す。そうするうちに、「自分が好きなこと・できること」と「地域の困りごと」がつながって、地域限定の旅行業や小さな起業の支援事業に発展してきたのです。

 

起業で、地域の課題を解決

 

地域の「プチ起業」を応援する講座を企画するきかっけとなったのは、藤村靖之さんの著書『月3万円ビジネス』(晶文社2011年)。そこで説かれている「非電化・ローカル化・分かち合いで、愉しく稼ぐ方法」に見習い、「借金をしない」「いいことしか仕事にしない」「支出を減らす」の3点を基本とし、アルバイトなどの複数の仕事を掛け合わせて働くというやり方なら、誰もが肩肘を張らずに実現できると井東さんは考えたのです。

 

 

「ナリワイ」という言葉を使うようになったのは、伊藤洋志さんの著書『ナリワイをつくる―人生を盗まれない働き方』(東京書籍2012年)に倣ってのこと。「生計の元手を得るための職業」である「生業」を、あえてカタカナで表現して「生活の中から仕事を生み出し、複数の仕事で生計を立てる」という意味で使っています。

そんな小さなナリワイを広げていくために、井東さんは仲間と一緒に知恵を出し合い、2011年に公益財団法人トヨタ財団の助成を受け、翌年から『ナリワイ起業講座』のプロジェクトをスタート。現在まで卒業生は約60人、公開講座には延べ千人が参加。参加者の9割が30~40代の女性で、その半数がUIターン者です。

 

2017年には、卒業生十数人が『ナリワイALLIANCE(アライアンス=同盟)』を設立。学び合い、つながりながら事業を続けています。

 

これまでに育ってきた「ナリワイ」は実にさまざま。切り絵の窓飾りが障害者の仕事づくりにつながったケース、庄内柿を使ったエナジーバー、自家焙煎のコーヒー専門店、入院患者向けの塗り絵づくりetc.。

 

こうした小さな起業のサポートを通して、井東さん自身があらためて気づいたのは、障害者や病者を「社会的弱者」というメガネで見てしまっていたこと。だけど誰もが社会に参画したいと望んでいる。だから必要なのは「参画のしくみ」なのだと考えるようになったそうです。

「経済効果は小さいですが、ナリワイが地域にもたらす一番の価値は、これまでサービスを受ける側だった人たちが、地域の課題を解決する側に回りはじめたことです。やりたいことを言葉にでき、応援し合える仲間がいると実感できれば、人は可能性を発揮できるのだと、この5年で実感しました」と井東さんは言います。

 

手本なき時代を、どう生き抜くのか

 

 

『ナリワイ起業講座』の卒業生が活動をはじめ、5年間で拠点が4つ誕生しました。みんなの自己肯定感が高まり、そして地域で回るお金が増えました。

「ボランティアでもいいじゃない」と言う人もいますが、井東さんが「ビジネス」にこだわるのは理由があります。趣味は外には開きづらい、ボランティア活動は事務局がいないと継続が難しい。でも、お金を介した「ビジネス」は、いろんな人との関わりが必要になるので自然と外に開かれ、継続されていくからです。

 

「ただし、『ビジネス』といってもお金をたくさん稼ぐために競争するのではなく、あくまで自分らしく、地域にかかわる手段として継続していくことが大切です」と井東さんは言います。

「ナリワイ」をはじめた人の中には、「ディズニーランドより楽しい!」と感想を表現した人がいました。それは「消費するよりも創り出すことが楽しい」ということに他なりません。スタートアップで高額な資金を使ったり融資を受けたりする大きなリスクを負うことなく、小さく、仲間とともに、実践しながら学んで継続する「ナリワイ」だからこそ、そんな実感が得られるのでしょう。

 

少子高齢化が進み、老後の不安が高まる今、「こうすれば大丈夫」というお手本はどこにもありません。でも、自分たちが手探りしながら新たな方法を築いていけば、きっと道は開かれていくはず。

 

「年間売上3,600万円規模で、社長1人+従業員8人が生きて行けるくらいの会社を経営することは私にはできないけれど、年間売上36万円(月3万×12ヶ月)を100人育ててトータルで売上3,600万円を目指すことはできる」と井東さんは言います。

小さな「ナリワイ」が地域でアメーバーのように増えながら共生していくことは、地域のセーフティネットにもなると考えています。

そんな地域づくりのためにとても大切なポイントは、

 

 

そして、「ヒントは『好き』の中にある」と井東さん。

さて、あなたなら何から始めますか?

 

 

参加された方々からは、こんな感想をいただきました。

・年齢を気にせず、前向きに!と思いました。

・自分と重ねて聞き、私もしてみたい、できるかな、と思いながら楽しく聞きました。

・まずは気の合う仲間を探すところから始めようと思います。

・ワクワクしました。参加してよかったです。

・井東さん、素敵でした。こういう人が町にいると素晴らしいです。

・経験値からのお話が楽しかったです。

・「36万×100人」、とても印象に残りました。

・井東さんのお話、元気が出ます。

・自由に生きる・活きるを実践していますね。

 

人とのつながり働くこと・動くことで自分も生き生きする、いいことですね。

・すばらしい! ぜひ私も参加したくなりました。

・庄内暮らしは想像できませんでしたが、なんだか楽しそう!と思えてきました。

・人とつながるって、おもしろいかなと思いました。

 

 

*「鶴岡ナリワイプロジェクト」はこちらから

http://tsuruoka-nariwai.com/