生活クラブらしさ満載の参加型福祉コミュニティーづくり

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特派員レポート

平田牧場の秘密を探る

 

皆さんこんにちは、多摩きた生活クラブ組合員のペンネーム「そよかぜのポン」です。この度、私たちに馴染みの深い、あの平田牧場を訪ねて取材する機会をいただきましたので、ここで皆さんにお伝えしたいと思います。

 

羽田を飛び立って30分もすると青空の中にすっくんと立ち誇る鳥海山と長方形の田んぼをいくつも並べた薄茶色の大地が広がってきました。これが庄内平野か。田んぼは、まだ春の足音もせず静かです。秋になったら稲穂の黄金のじゅうたんが揺れるのでしょう。日本人は米を主食にする民族なのだと改めて思い知ったのです。そして庄内平野は日本の一大米生産地なのだと実感が湧いてきました。

 

今回取材を希望した平田牧場の豚肉は、私が生活クラブに入った36年前から食べ続けています。今はビッグブランドになりましたが、あの頃と変わることなくおいしい豚肉はどんな人が作っているのだろう。どんな会社が作っているのだろうと知りたかったのです。

 

 

新田社長と庄内平野と飼料米と

 

空港に着くと平田牧場の茂木専務が車で迎えて下さいました。本社では白い歯と笑顔が素敵な新田社長と、今回一緒にインタビューをお願いする月山農場の齋藤社長が待っていて下さったのです。齋藤社長は4月から共同購入を開始する「生活協同組合 庄内親生会」の代表理事専務をされます。

 

何の肩書もない一組合員の要望に昼食を共にしてインタビューに応じてくださるなんて、普通アリエヘン!インタビュアーは私でいいのでしょうか!

 

「いつもおいしい豚肉を提供していただいてありがとうございます」と私。「今日はシニア世代向けて開発中のチーズ入りウィンナーと行者ニンニク入りウィンナーも試食してください」と生ハムサラダの前菜からとんかつコースがはじまりました。

 

「平田牧場」といえば「日本の米育ち金華豚 三元豚」とうたわれ、今では飼料用米が豚の餌として当たり前に使われています。以前は米は飼料にならない、米は家畜には向かないといわれていたそうです。

 

 

飼料用米を作るきっかけは政府の減反政策が一番の理由ですね。農家は米を作りたくても作れない。政府が補助金を支払うから米を作るな、というわけです。田んぼは耕作しないで放っておくと草ぼうぼうになり、何年かすると田んぼとして使えなくなる。農地を荒らしたくなかったんです。農地を守りたかったです。最初は減反した田んぼ3枚から飼料用米作りをはじめました。」

 

新田社長が庄内という日本の一大米生産地で育ってこられたからこその熱い思いだと知ります。農家の暮らしぶりを身近に見聞きされていたからこそ、田んぼを作っている人の気持ちが痛いほどわかるのではないでしょうか。田んぼが荒れていくのを黙って見過ごすことができない。何とかしたいという思いです。

 

「日本人一人の米の年間消費量は54㎏、豚一頭当たりの年間消費量は220㎏、人の4倍ですよ。庄内だけでは飼料用米は足りず、栃木、宮城の加美よつばの3ヶ所で作ってもらっています。生活クラブで米を作っているところと同じです。」

 

人を育てる

 

続けて茂木専務は「社員が育つのは人が来てくれるからです。組合員に育てられました」と話されます。生活クラブの庄内交流をはじめ多くの人が見学に来ます。社内では月に一度、情報を共有する場をもうけ、社員からの小さな意見でも取り上げて、「改善活動」を盛んにしているとのことです。改善案は一つの部署で20~30件も上がってくるそうで、できるところから実行に移していると話されます。豚肉学習会にも社員にどんどん出ていってもらっているそうです。

 

人はほめられ認められると意欲がわいてきます。パート、アルバイトも含め約700人の大会社になっても社員の小さな声を吸い上げる。現状に甘んじない、流されない、これがブレない平田牧場の姿勢なのでしょうか。

 

 

平田牧場の神髄

 

平田牧場の心臓部ともいわれる本社・ミートセンターを見学させてもらいました。見学コースからみる工場は清潔感が漂います。解体された枝肉を各部位に分けて、それぞれの用途に切り分け梱包、出荷していく。枝肉に残る毛、骨の残りを極力なくするためLEDを使い、光の照度を一般の倍にしているとのことです。工場の掃除はお湯を使い1時間かけて行うそうです。湿気は残るとカビなどの発生につながるので除湿機を使い乾燥させる。異物の混入を防ぐため、2方向から検査できる新しいX線異物検査装置を購入されたとのことです。どれだけ丁寧に扱われている豚肉たちなのでしょうか。

 

 

酒田市郊外の養豚場にも行きました。病原菌を持ち込まないため養豚場は立ち入り禁止。周辺道路を回りながら養豚場を見学しました。驚くほどきれいです。豚舎周りも養豚場全体も整然と整理されていてバケツ一つ転がっていない。清潔さを感じます。

 

庄内空港での病原菌の持ち込み、持ち出しを防ぐため、飛行機の乗り降りの際、消毒液のしみ込んだマットを平田牧場が提供して使ってもらっているそうです。

 

清潔感が安心感につながると感じたのははじめてです。改めて平田牧場の神髄に触れさせていただいた思いがしました。

 

 

やっぱり平田牧場が好き

 

組合員になったころ、「班で豚肉を取るには一頭買いをするからバランスよく買わなくてはいけないのよ」といわれました。豚は当然のことながらヒレ肉だけで出来ているのではなく、ロース、肩ロース、モモ、カタ、バラと6つの部位で成り立っていることをはじめて知ったのです。豚肉の切り分けも何度か見学に行きました。

 

ミートセンターで生産される方のお話を聞き、現場を見学させていただき、美味しい豚肉を食べたいと班で取り組んだ頃を思い出しました。

 

当たり前に食べている平田牧場の豚肉、イヤイヤ当たり前ではないのです。仕事に携わる一人一人の熱い思いといっしょに、届けられているのです。

 

感謝して食べよう!全部食べつくそう!そう強く感じた取材の旅でした。

 

 

(※本稿は2018年4月上旬に実施された取材をもとに作成されました。)